日本最古の神社(の一つ)と称される、奈良は桜井に座す大神(おおみわ)神社。
本殿は置かず、拝殿からご神体の三輪山(大物主神)を遙拝する。
私的に大変好きな神社の一つだが、すべてを語り始めると止まらなくなりそうなので
ひとまずここは例年11月14日に行われる「醸造安全祈願祭」、
通称“酒まつり”についてのみ記すことにする。
全国に散らばる筋金入りの飲兵衛なら知っている同社の“酒まつり”。
平日でも会社を休んで参詣するという強者は意外と少なくない。
なぜならこの日は、「酒の神様」「醸造の祖神」と仰がれるご神徳を称え、
醸造元より奉納された四斗樽が参拝者に振る舞われるからである。
その日は朝から樽酒の香りがぶわっと広がり、
境内はいつにも増して和やかな雰囲気に包まれる。
ちなみにこの振る舞い酒。数年前までは樽酒のみにあらず、
全国の醸造元から奉納されたお酒がすべて振る舞われていた(現在は展示のみ)。
そんな飲兵衛の夢のようなお祭りが縮小されたのは、
ある年、どこぞの飲兵衛が無茶飲みの果てにクダをまいたり、倒れこんだり、
はては粗相をしたりと、そりゃまあえらいことをしたからという説が。。。
(実はその光景を目撃している一人)
それでも、三輪山の神様から頂戴した上等な樽酒が振る舞われるとあって、
毎年大勢の人が平日にもかかわらず全国各地から参詣にやってくる。
もちろん、ボクは平日に行ける身分ではないので、
この日が休日になった年(極希)にしか行ったことないけれど。
(本年の写真はとある強者の撮影による※一部)
さて、奈良の枕詞が“青丹よし(あをによし)”というのは
某小説やドラマで一時有名になったが、三輪の枕詞は“味酒(うまさけ)”。
「味酒」を「みわ」と言ったことから三輪(みわ)を導く枕詞になったという。
古来より続く日本酒の聖地は、約1300年過ぎた今もなお飲兵衛たちに愛されている。