春日大社(第六十次式年造替)

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一ノ鳥居

一ノ鳥居

二ノ鳥居

二ノ鳥居

はるか昔、奈良に都ができた710年頃。
国家の繁栄と民の幸せを願い、東の鹿島神宮から白鹿の背に乗って
お越しになられた武甕槌命(たけみかづちのみこと)を
御蓋山山頂の浮雲峰(うきぐものみね)にお迎えした春日大社。
それから約50年後に、現在の地に社殿が造営され、
同じく東の香取神宮から経津主命(ふつぬしのみこと)、
隣接する河内の枚岡神社から天児屋根命(あめのこやねのみこと)、
ならびに比売神(ひめみかみ)をお招きし、あわせて4柱の神々をお祀りし現在に至る。

参道に流れる御蓋山の風が心地いい。 それにしても、一ノ鳥居からご本殿までとても遠い。

参道に流れる御蓋山の風が心地いい。 それにしても、一ノ鳥居からご本殿までとても遠い。

東側より第一殿、第二殿、第三殿、第四殿と四棟のご本殿が並び、第一殿と第二殿の間と第三殿と第四殿の間に絵馬(神馬)が、第二殿と第三殿の間に牡丹と唐獅子が描かれている。

東側より第一殿、第二殿、第三殿、第四殿と四棟のご本殿が並び、第一殿と第二殿の間と第三殿と第四殿の間に絵馬(神馬)が、第二殿と第三殿の間に牡丹と唐獅子が描かれている。

武神であり、神世より交渉事に長けたとされる武甕槌命と経津主命、
天の岩戸開きや天孫降臨の五伴緒(いつともお)として活躍した天児屋根命、
その妃神もしくは天照大御神(あまてらすおおみかみ)とも伝えられる比売神の4柱は、
春日皇大神や春日大明神または春日権現とも称され、中世以降は武家や庶民にも信仰が広まり、
日本全国に約1000社ほど春日神社などという社名でお祀りされている。

南門

南門

また創建当時、権勢を誇っていた藤原家(中臣家)の祖神、守護神であり、
社紋は藤原家ゆかりの藤をかたどった「下り藤」。
境内には幣殿脇の「砂ずりの藤」をはじめ、萬葉植物園には20品種、
約200本もの藤の木が植栽された「藤の園」が設けられている。

下り藤

下り藤

樹齢700年以上になる藤の銘木。砂にすれるほど藤の花が垂れ下がることから「砂ずりの藤」と呼ばれ、5月初旬頃には見事な淡い紫の花房を披露する。

樹齢700年以上になる藤の銘木。砂にすれるほど藤の花が垂れ下がることから「砂ずりの藤」と呼ばれ、5月初旬頃には見事な淡い紫の花房を披露する。

さて、その春日大社が現在、20年に1度の「式年造替」を行っている。
これは一昨年に執り行われた伊勢神宮の「式年遷宮」のように神様が引っ越すわけではなく、
ご本殿の位置はそのままで、建て替えや修復を行う、いわばリフォームのようなもの。
ついては、そのリフォーム期間だけ神様には仮住まいにお遷りいただかねばならず、
60回目にあたる今回は、平成19年の一の鳥居の修復からはじまって、
平成28年11月に新しくなったご本殿にお遷りいただく「本殿遷座祭」をもって完了となる。
なお仮住まいは平安時代に創建し、江戸時代に造替された「御仮殿(移殿)」もしくは
「内侍殿」と呼ばれる場所で、御本殿特別参拝(有料)を希望すれば直接参拝することができる。

第六十次式年造替のため、大神様は御仮殿(移殿)にお遷りになっておられます。ご参拝の皆様は、御仮殿(左側の御殿)にてお参り下さい。尚、正遷宮は平成二十八年十一月に行われます。

「御仮殿(移殿)」の案内

さらに、この「式年造替」を記念して、御本殿特別参拝のエリアが期間限定で拡張され、
これまで足を踏み入れることができなかった場所が参拝順路に組み込まれた。
その一つが、御蓋山浮雲峰遙拝所(みかさやまうきぐものみねようはいじょ)である。

御蓋山浮雲峰遙拝所の案内

御蓋山浮雲峰遙拝所の案内

御蓋山「浮雲峰」は、鹿島神宮から武甕槌命が白鹿の背に乗って鎮座された神聖な場所で
古来より禁足地として入山が厳しく制限されていた。
今回は特別に山頂の「浮雲峰」から西に伸びる尾根線上に鳥居が設置され、
一時的に参拝できるようになっている。
期間限定というだけあって遥拝所そのものは簡易な造りになっているが、
浮雲峰から吹き下ろされる風はとても心地よく(まさに神の息吹)、
深く吸い込むと身も心も洗われるような清々しい気分を味わえた。

御蓋山浮雲峰遙拝所

御蓋山浮雲峰遙拝所

さらに、もう一つ期間限定で拡張されたのが、
明治維新以来、閉ざされたままになっていた御本殿北側の
後殿御門(うしろどのごもん)が約140年ぶりに開かれたこと。
場所としては、ちょうどご本殿の後ろにあたり、5社の末社が祀られている。
ただし、こちらは目前に広がる白砂の庭に入ることはできない。
それでも、災難厄除けに霊験あらたかとされる5社の神々へ
直接参拝できるのだから、この機会を逃す手はないだろう。

春日大社といえば釣燈籠

春日大社といえば釣燈籠

また、拡張されたわけではないが、年2回計3日間行われている
春日万灯籠神事をいつでも体感できるように、北回廊にある「藤浪之屋」を開放。
暗い屋内でゆらめく100基以上の釣灯籠の灯りは幻想的で蠱惑的。
じっと見つめていると、往時へタイムスリップしたような気にさせられる。

藤浪之屋の釣燈籠

藤浪之屋の釣燈籠

そんな貴重な体験を終えた後はいよいよ「御仮殿(移殿)」へ。
むろん撮影はできないので画像での紹介はできないが、その仕様はまさに仮住まいそのもの。
華美な装飾などはいっさい見当たらず、シンプルな4座が少し離れた正面に祀られていた。
その質素な設えに内心驚きながらも、例によって粛々と二礼二拍手一礼。
毎日の健康と訪れた嬉しい出来事に感謝を申し上げる。

移殿の案内

移殿の案内

その後は、有名な大杉と柏の巨木の横を通り、幣殿の前にあるりんごの庭と直会殿へ。
さすが樹齢800年のご神木(大杉)は威厳に満ちていて、
見上げるとそのあまりの大きさに思わず畏敬の念を抱いてしまう。
さらに横から歪に伸びた柏も建物の屋根を貫いてしまうほど大きく、
躍動的に湾曲した根は生命力に溢れ、触れると心が洗われる気がした。

直会殿から臨むご本殿と御神木の大杉

直会殿から臨むご本殿と御神木の大杉

「バース スポット 奈良」の代名詞ともいえる春日大社。
この他にもたくさんの摂末社がお祀りされており、
ご神域の春日山原始林とあわせて、いずれまたご紹介したい。

※ご本殿特別参拝(新順路)は、期間延長公開中!
前期:平成27年7月1日(水)~12月20日(日)
後期:平成28年1月8日(金)〜3月31日(木)
拝観時間:8:30~16:45
特別参拝料:500円

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