『偉大なる、しゅららぼん』

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shurarabon

万城目学/著:集英社

今週末の封切りを前に読み返してみた『偉大なる、しゅららぼん』。
著者は、少し前に新刊『とっぴんぱらりの風太郎』をここで紹介したばかりの万城目学。
なるべく同じ作家を避けるように気をつけていたことなんぞこの際なかったことにして、
ちょっとばかりその魅力をお話したい。

舞台は滋賀県の琵琶湖。
その湖畔にて代々継承されてきた不思議なチカラを持つ一族日出(ひので)家。
その分家の次男坊が、高校入学を機に本家へ修行にやってきたことから事件ははじまる。
日本で唯一城に住む日出本家。真っ赤な制服を着る長男。白馬に跨る引きこもりの長女。
そして琵琶湖に佇む神の島「竹生島」と「しゅららぼん」。

冒頭からマキメワールド全開で話が進み、
かつての『鴨川ホルモー』『鹿男あをによし』を彷彿させる壮大なスケールは、
ページをめくるスピートを最後まで緩めることなく駆け抜ける。

過日、著者にインタビューする機会に恵まれた際、
「京都」「奈良」「大阪」を舞台に物語を書き上げ(そのときは『プリンセス・トヨトミ』を執筆中だった)、
その次の舞台はどこにするのかもう決めているのか…なんていう不躾な質問に
「今度は特定の地域から離れた、架空の世界を舞台にしたいです」なんてお答えいただいたことを今でも覚えている。

となれば順当に数えると同作がこれにあたるが、どちらかといえばそういう意味では
先出の『とっぴんぱらりの風太郎』がそうなのだろう。
ならば、同作はおそらくその手前に執筆したある種の集大成。
「京都」「奈良」「大阪」の根底に流れる歴史ロマンの大河に、
万城目流の切り口で魔法をかけた前三部作の源泉ともいえるのが、
この「滋賀」の琵琶湖を舞台にした『偉大なる、しゅららぼん』なのではないか。

映画では『プリンセス・トヨトミ』に出演した岡田将生を主人公に迎え、
日出本家長男役に『鴨川ホルモー』に出演した濱田岳がコンビを組む。
これまですべての著作が映画化・ドラマ化されているが、
そのいずれも設定を少し変えて製作されている。
その辺りにも注目しながら、来る映画の鑑賞に臨みたい。

映画『偉大なる、しゅららぼん』公式サイトはこちら

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