京都最古の禅寺にして、京都五山の第3位に列せられる臨済宗の大本山・建仁寺。
うかがったのは去年の今頃。
生涯で二度目の参詣だった。
最初はまったく予定もしてなくて、たまたま花見小路を散策していて出会ったという衝動的なものだった。
でも二度目は、どうしてもまたここの居心地の良さを味わいたい想い一心で予定を立てた。
本来なら有名な三門をくぐるべきところ、今回もまた花見小路にほど近い裏門(?)から入山。
入ってすぐ右手に見える「本坊」が、私が愛して病まない場所である。
その日はたまたま本坊の入り口正面の一室に、かの有名な「風神雷神図 (俵屋宗達)」がデーンと展示されていた。
そのあまりの神々しさにカメラを向ける手が震える(なんと撮影可)。
かつて歴史の教科書で見たことのある文化遺産を前に、実物を肉眼で目にすることの重要さを思い知る(実はレプリカでした)。
そんな興奮も冷めやらぬなか、もう一度来たかった大雄苑(だいおうえん)へ。
そう。ここへ再び来たかったのは、風神雷神図でもなく、このあとに拝観する双龍図でもない。
方丈(禅宗寺院の住持や長老の居室)の縁側からボーッと眺める、枯山水様式の大雄苑なのだ。
庭の向こうには法堂が見え、その背景に広がる空と手前の植木とのコントラストがなんとも優美(写真はお粗末ですが…)。
とくに予定がないなら、一日中でも寝そべってこの光景を眺めていられる。
それほど、この居心地は最高なのだ。
もちろん、季節はちょうど今頃の晩春か初秋がオススメ。
さて、その大雄苑から伸びる渡り廊下を進み、法堂へ。
正式には「拈華堂(ねんげどう)」。正面須弥壇には本尊釈迦如来座像と脇侍迦葉尊者・阿難尊者を祀る。
そしてその天井からは、創建800年を記念して描かれた「小泉淳作画伯」筆の双龍図が睨みを効かせていた。
今にも動きそう…とありきたりな表現を思わず用いてしまうほど、108畳分に相当するその躍動感あふれた壮大な水墨画に、首がつりそうになるまでじっと魅入ってしまう。
※毎年6月5日は開山毎歳忌のため、拝観できません。
再び本坊へ戻り、中庭にある潮音庭(ちょうおんてい)へ。
大書院と小書院に挟まれた、四方向から眺められる枯山水の庭。
心地よい風がどこからともなく流れ込み、ここの縁側でもボーッと眺めていられる。
現に、拝観者の大半は四方向に分かれ、この眺望を楽しんでいた。
この他にも、○△□乃庭なんていう禅宗の四大思想を象徴したという庭もあり、
ともかく拝観料500円でこれほど心ゆくまで愉しめる寺院はほかにないだろう。
ぜひぜひ一度、足を運んでみられることをオススメする。