長い間、親の代より鮮魚店を営んでいた大将が、
大阪から奈良の中南和へいたる玄関口・香芝にて
鮮魚と鍋料理のお店をオープンするという。
目利きを活かした新鮮な魚介類を中心に
東関部屋由来のちゃんこ鍋やこだわりのてっちりを
多くの人に食べてもらいたいという思いと、
かねてより“うまいものなし”と揶揄される奈良県に
実は美味しい食材がたくさんあることを
もっと多くの人に知ってもらいたいという思い。
その二つの思いを目を輝かせながら話してくれた大将に
私の食い意地っ張りセンサーが見事に反応した。
「ここはうまい」
そんなわけで、オープンして少し間が空いた某日、
酒の飲めない同僚をドライバーに担ぎ出し、
センサーに導かれるまま店へと向かったアフター6。
真新しい店内にはちゃんこ鍋店よろしく関取の手形が飾られていて、
この「らしさ」が私の胃壁をまたいっそう刺激する。
大将への挨拶やお祝いもそこそこに(いいのか)、
早速注文したのは屋号の冠がついた「玄ちゃんこ鍋コース」(4,980円)。
突き出しの三種盛りを地酒でさくっと片付けたあと
続けて出てきたお造りに舌鼓を打つ。
さすが鮮魚店だっただけあって、どれも身がプリプリ。
ほどよく脂がのっていて、舌の上でとろけていく。
続く天ぷらは「ゲソ」か「ワカサギ」のどちらか一品。
けっきょくどっちもいただいたが、とにかく新鮮だからうまくないはずがない。
そんなこんなでついに鍋登場!
濃厚そうなスープへ大量の魚介を投入していく。
自家製つみれ、魚二種、海老、ホタテ、カニの爪、はまぐり、鶏肉、豚肉。
いずれの食材も瑞々しく、その新鮮さは素人でもすぐにわかるほど。
さらに野菜を投入し、しばし待つこと十数分。
写真を撮ることも忘れてがっつく始末。m(__)m
魚介がうまいのは今更言うまでもないが、
鶏のつくねや焼き焦がした揚げ豆腐も超がつくほどの美味しさ。
スープは海と山の幸からしみ出した出汁が仲良く手を取り、
互いの長所を重ねあわせて味わい深く熟成している。
さらに後味を引きずらず、脂っぽく舌に残ることもない。
シメには黄そばをチョイス(ほかに雑炊かうどんがある)。
巷で人気のラーメン店を凌駕するようなシメの逸品。
これにて我が食い意地っ張りセンサに偽りはないことを確信するに至る。
新鮮な魚介のサイドメニューも頼んでみたかったなぁ…と
生け簀に泳ぐトラフグとウマズラを眺めながら終宴。
あまりにもたらふく食べ過ぎて(飲み過ぎて)、
コースのデザートを食べ損ねたのが今になって悔やまれる。
玄(げん)
<問合>0745-77-1829
<時間>11:30~14:00、17:00~23:00(L.O.22:30)
<定休>無休
<住所>奈良県香芝市今泉457-2
<交通>香芝インター降りてすぐ南に50m
JR和歌山線「志都美駅」から徒歩約5分