八大竜王拝所(竹生島)

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竹生島

針葉樹が生茂るこんもりと丸い竹生島。周辺は琵琶湖最深部で、もちろん実際のところ浮かんでいるわけではない。つまり、この島は湖の中で巨大な柱のような形状になっている。

日本一大きな湖・琵琶湖の北側に浮かぶ神秘の島「竹生島」。
島へのアクセスは定期船にて湖西の今津港、湖東の彦根港・長浜港からおよそ30~40分。
とあるきっかけから、毎夏に一度は必ず「まいる」ことにしている。

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2階にレストランを併設した今津港。近くに美味しい蕎麦屋さんがある。JR湖西線「近江今津駅」下車徒歩約5分。名神高速道路「京都東IC」より約70分(車は乗船できない)。

古来より信仰の対象だった竹生島は、神の棲む島とされ、
浅井姫命伝説の都久夫須麻神社(竹生島神社)、
日本三大弁天で知られる宝厳寺(西国三十三所三十番)
かわらけ投げで有名な八大竜王拝所、
天狗堂、観音堂、黒龍堂とパワースポットが目白押し。

本来なら、今夏の参詣後に投稿するところだが、
これほどのボリュームを一度にご紹介するのは厳しいこともあり、
映画『偉大なる、しゅららぼん』の公開に合わせて、
今回は劇中で重要なキーとなる「八大竜王拝所」にのみスポットあててみた。

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上陸してまもなく、ちょっとびっくりするような長い階段を登ることに。途中で宝巌寺へ向かうルートと、都久夫須麻神社へ向かるルートに別れる。

さて、島へ上陸してひたすら長い階段を登り、順当に巡っていけば、
都久夫須麻神社の下方真正面に向かい合う八大竜王拝所へたどり着く。

ところが、約2年前から同所周辺の改修工事がはじまり、
それからは仮の拝殿(?)にて参詣するしかなくなった。
それがこの春、まるで映画の公開に合わせたかのように工事が終わったようで、
おそらく見事なまでに立派な拝殿が完成しているはず(今季参詣にて報告予定)。

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改修工事が始まってからは、より簡素な仮の拝所となっている。

拝殿にはとぐろを巻いた阿吽の蛇が狛犬のように配され、
正面に放たれた開口部からは、青く澄み切った琵琶湖が望める。

奈良の大神神社に本殿がなく、拝殿からご神体の三輪山を拝するのと同様に、
ここではこの琵琶湖がご神体であり、八大竜王そのものであるということだろう。

竜神拝所

賽銭箱の上に立てかけてある『龍神祝詞』。一般的な『身滌大祓』でないのが珍しい。八大竜王の拝所は寺院である場合が多く、神道でお祀りされていることに新鮮なキモチに。

拝殿の横にはさらに大きな開口部があって(改修工事前)、
そこから眼下を望むと湖岸に面して鳥居がポツンと立っている。
それは有名な安芸・厳島の鳥居に遠く及ばない簡素なものだが、
不思議とその風景を彷彿とさせるような神秘的な佇まいを見せていた。

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古来より続く琵琶湖の竜王信仰。『偉大なる、しゅららぼん』を執筆した万城目氏は、おそらくここを訪れ、インスピレーションを得たに違いない。

そして、この鳥居を利用して厄を落とすというのが有名な“かわらけ投げ”である。
“かわらけ”というのは素焼きや日干しでつくった土器の酒杯や皿のこと。
受付で購入した2枚の“かわらけ”に名前と願いを各々記入し、
眼下の鳥居中央へ向けて投げ、ちゃんとくぐれば願いが叶うという。
よく見ると、鳥居の周辺は投げられた“かわらけ”の残骸で敷き詰められている。

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受付で申し込むと、300円(当時)を支払ってからわけを2皿いただく。ちなみにこの受付も今はこの姿ではない(はず)。

もちろん、ここまで来て投げない理由はない。
過去3回、いずれも厄祓いを祈願して投げたうち、
なんと2回はど真ん中を通り抜けた(しかも2枚とも!)。
たしかに無事に3年間の大厄をやり過ごすことができたのだから、
とにもかくにもお陰様で大変ありがたいことである。

かわらけ

名前と願い事をそれぞれに書く。うまくくぐり抜けなかった場合、そこそこショックがあるかもなので、大事な願い事はやめておくことにしている。

さて、そんな拝所を後にして再び先へ進もうとしたとき
本来のルートとはまったく違う細く狭い道を発見。
(もちろん初めて訪れたときの話)
それは、ちょうど都久夫須麻神社の裏手にまわるような方向で、
踏み入ってはいけないのかと思われたが、結界のようなものはなく、
まるでなにかに誘われるようにフラフラと歩みを進めると、
目の前に現れたのは伏見にあるような真っ赤な鳥居と石の鳥居だった。

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すでにここを知っていた人か、はたまた自分と同じように迷い込んだのか先客がいた。案内もなく、知らない人は通りすぎてしまうこと大。(今はここへ行けるのかもわからないが…)

石鳥居の前には2本の石柱があり、そこにはそれぞれ
「平成巳巳歳巳巳月巳巳日」と「奉納某氏」の文字が。
さらにその前には阿吽の龍。
そしてその先は、ただただ琵琶湖があるのみ。

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阿吽の龍の先は階段が数段あって、その先は湖面へと続いている。段上にはどなたかが奉納した卵とお酒、線香の燃えた跡が残っていた。

そこから見える島の外壁は緩やかなカーブを描き、
竹生島がまあるい円状であることがよくわかる。
ふと、小さな波が打ち寄せる湖面へ目を落とすと
外壁は1メートルも満たずに湖の中へ消えていた。

そう、竹生島は琵琶湖の最深部に突き立つ巨大な円柱の
わずか上方のほんの一部に過ぎない。
その円柱のはるか下方には、長い肢体を柱に巻き付けながら
鋭い双眸を湖面へ向ける巨大な龍が本当にいるのかも…知れない。

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