『スペードの3』

朝井リョウ/著:講談社

朝井リョウ/著:講談社

映画化された『桐島、部活やめるってよ』(集英社)、
直木賞受賞作『何者』(新潮社)などで知られる朝井リョウ氏の文芸新作。
相変わらず、登場人物たちの微細な心理描写は秀逸の一言。
人間関係の中で生じる立場の違いや優劣の差などにフォーカスをあて、
各々が心に秘めるエゴや葛藤を浮き彫りにして物語を紡ぐ手法は、
いずれの著作にも共通する彼の得意技だ。

三部構成になる本作品は、転機を迎える3人の女性が主人公。
看過できなくなってしまった悩みや困難を克服するために
過去に形成したコンプレックスと向き合い、自身のココロに「革命」を起こす。

タイトルの『スペードの3』というのは、トランプゲームの「大富豪(大貧民)」にある
ローカルルールの一つ、「革命」からきている。
ある特定のカードが出されたとき「革命」が起こり、
それまでのカードの強さの順位が逆転するというもので、
つまるところ最弱だった「3」がとたんに最強になるという。

そんなローカルルールを知らないボクにとって、
その「革命」が意味するところの「立場の逆転」が
どうも始終ピンとこなかったのはここだけの話。

とにもかくにもまだ25歳という若さにあって、
人が誰しも持つ優越感、プライド、嫉妬、過剰な自意識など、
いわゆる醜いとされる心の繊細な描写や切り口の鋭さに敬服する。
また、表現の一言一言にひねりがきいていて、オシャレでハイセンス。
糸井重里も真っ青な、コピーライターの才能もうかがえるほど。

そういう意味でも、本作はこれまでの集大成のような、朝井エッセンスが盛りだくさん。
ただ、ボクはもうおなかいっぱい。散りばめられたエゴやコンプレックスのゲップがでそう。
そろそろ朝井氏自身の「革命」を見てみたい。

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2014年4月19日

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